コン・パス代表、村上です。
今日は融資条件の話です。
そもそもですが不動産投資は融資ありき。
億単位の投資ですから
自己資金だけでは難しいですし
融資があればこそレバレッジをかけて
拡大することができますよね。
それと同時に不動産は
「税金との戦い」とも言われます。
不動産取得税、固定資産税、
消費税、所得税…
色々ありますが厄介なのは所得税。
何が厄介かというと、
キャッシュフロー=所得
ではないから。
一見関係ないようですが、
融資と税金の関係には要注意です。
どういうことか解説しますので
そのまま読み進めてください。
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不動産経営は融資と税金が勝負!
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です。
融資と税金は密接に関係しています。
融資条件次第で毎年の所得税が
変わってくるからです。
お金が残るはずの投資プランが、
台無しになる可能性もあります。
億単位の物件なら数%のズレが
数百万円になってしまうからです。
不動産投資において融資は売上の源泉です。
一方で金利は最大のコスト。
銀行に払うお金のレンタル料
のようなものですから、
なるべく低金利が望ましいです。
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金利2.5%で雲泥の差!
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1億円の借入で比較してみましょう。
▼金利4.5%の場合
借入金額:1億円
金利:4.5%
返済期間:30年
年間返済額:610万円
▼金利2.0%の場合
借入金額:1億円
金利:2.0%
返済期間:30年
年間返済額:440万円
金利4.5%と2.0%とで、
返済額160万円以上の差に
なってしまいました。
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返済スピードも段違い!
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返済額の内訳をみるとさらに衝撃的です。
▼金利4.5%の場合
年間返済額:610万円
利息:450万円
元金:160万円
▼金利2.0%の場合
年間返済額:440万円
利息:200万円
元金:240万円
金利2.0%のほうが
元金返済は80万円多くなりました。
それだけ返済が早く進むことになります。
残債が減るということは、
売却する際の手残りが増えるということ。
金利を低く押さえることで、
キャッシュフローが向上し
将来の売却益も増えるのです。
なので、低金利ほど良いのですが、
注意していただきたいことが3つあります。
・利息は経費、元金は非経費
・返済期間で返済額が大きく変わる
・利息は銀行の貴重な売上げ
ひとつずつ解説しますね。
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利息は経費、元金は非経費
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利息は銀行へ支払う料金なので、
経費計上することができます。
一方で元金返済は経費になりません。
そのため、キャッシュは出ていくのに
税額には反映されないのです。
なぜ元金は経費にならないのでしょうか。
元金返済で借入残高(負債)が減りますが、
その分、現金(資産)も減ります。
資産と負債が同額ずつ小さくなるので、
純資産の増減はありません。
資産=純資産+負債 だからです。
純資産の増減がないので、
損益ではプラマイゼロということ。
なのでお金は出るのに
経費に計上できないのです。
金利4.5%であれば所得税が還付されていたのに、
金利2.0%になったら納税することになった
ということが起こりえます。
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返済期間で返済額が大きく変わる
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返済額への影響が大きいのは、
実は金利よりも返済期間です。
投資初心者の方がしばしば
やってしまいがちなのが、
「借換えで返済期間が短くなる」
というパターン。
返済期間が短くなるのは、
銀行ごとに融資方針が異なるためです。
特に築20~30年になってくると、
不動産投資に意欲的な一部の銀行以外では
融資期間が短くなる傾向です。
場合によっては、
金利が下がってよかったと思いきや
むしろ損をしてしまうこともあります。
▼借換え前
借入金額:1億円
金利:4.5%
返済期間:30年
年間返済額:610万円
利息:450万円
元金:160万円
▼借換え後
借入金額:1億円
金利:2.0%
返済期間:20年
年間返済額:610万円
利息:200万円
元金:410万円
折角金利が下がったのに、
返済期間が短くなったので
結局返済額は同じです。
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元金割合アップで税額アップ
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同じなら「損」じゃないでしょ!
と思われるかもしれませんが、
注目していただきたいのは
利息と元金返済のバランスです。
▼借換え前
利息:450万円
元金:160万円
▼借換え後
利息:200万円
元金:410万円
先ほどお話しした通り、
元金返済は経費になりません。
借換前後の元金返済の差は
410万円ー160万円=250万円。
借換え後は会計上の所得が
250万円増えることになり、
課税額もアップしてしまうのです。
ここで、元金返済が増えることで
課税額がどのように変化するか
事例で試算してみましょう。
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借換えで納税額3倍…。
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借換え前後の損益を比較します。
家賃、運営コスト、減価償却費は、
仮の数字です。前後で変化ありません。
▼借換え前の損益
家賃:1000万円
運営コスト:200万円
減価償却費:200万円
利息:450万円
利益:150万円(黒字)
税率33%とすると
所得税は49.5万円になります。
▼借換え後の損益
家賃:1000万円
運営コスト:200万円
減価償却費:200万円
利息:200万円
利益:400万円(黒字)
税率33%とすると
所得税は132万円になります。
※減価償却費は実際には
出ていかないお金です。
建物の資産価値が
経年で減るのを損失とみなして
経費計上できるのですね。
借換え前後の損益を比べると
納税額が倍以上になってしまいました。
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キャッシュフロー < 課税額 の悲劇
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一方キャッシュフローは
借換え前後で変化ありませんが、
これはこれで困ったことになります。
▼キャッシュフロー(借換え後)
家賃:1000万円
運営コスト:200万円
返済額:610万円(利息+元金)
キャッシュフロー:190万円
借換え前後の利益と
キャッシュフローを比べて
見てください。
借換え前の利益:150万円
借換え後の利益:400万円
キャッシュフロー:190万円
借換え前: 利益<キャッシュフロー
だったのが、
借換え後: 利益>キャッシュフロー
になってしまいます。
実際に残るお金よりも
課税額が大きいということです。
こういった状況は避けたいですね。
金利が下がっても返済期間が短くなると
このようなことが起こりえます。
ですので借換えをする際には、
金利だけでなく、返済期間にも
ご注意ください。
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利息は銀行の貴重な収入源
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金利を下げる方法としては、
借換えでなく現在の銀行へ
金利交渉をすることもできます。
金利引下げでも返済期間は
変わらない場合が多いので、
その点でも安心です。
ただし、やりすぎには注意してください。
なぜならば、
利息は銀行のメインビジネス、
貴重な収入源だからです。
「金利を下げてください」
ということは、
「あなたの利益を減らして
私にまわしてください」
と言っているのと同じなのです。
ですので、金利交渉をする際は、
銀行との信頼関係や先方のメリットに
十分配慮する必要があります。
直接的に言わずに、
誰かを介してもよいかもしれません。
例えばその銀行を紹介してくれた人、
などです。
当社でもクライアントに代わって、
銀行と金利交渉をすることがあります。
参考までに具体例をご紹介します。
▼金利交渉の事例
・経緯
お客様が他社物件を購入(H銀行より借入)。
お客様とコンパスのお取引開始。
コンパスからH銀行へ金利交渉、成功。
・当初の条件
借入金額:4000万円
金利:4.5%
返済期間:15年
・交渉後の条件
金利:25回目から2.75%
返済期間:13年(変わらず)
結果としてキャッシュフローが
だいぶ改善できました。
・金利引下げの効果
月額返済額:3万円圧縮
総返済額:470万円圧縮
経営改善のおかげで次に進めるようになり、
喜んでいただけてよかったです。
ということで、
融資条件を決める際には、
くれぐれも慎重にお願いします。
次回は税金コントロールについて
お話しします。
今日もがんばっていきましょう!
村上