村上です。
前回につづいて、
不動産投資で見落としがちな
損益のポイントをお話しします。
(1)入退居コスト
(2)減価償却費
(3)元金返済 ←前回
(4)金利支払 ←今回
前回は元金返済について解説しました。
・元金返済は経費にならない
・負債から純資産への置換えだから
・返済が進むと「含み益」ができる
・ただし譲渡税は別計算なので要注意
ということでしたね。
売却時にどれだけ現金が残るかは
投資家のウデ次第。
・売却タイミングと想定金額
・残債と手残りキャッシュ
・簿価と譲渡所得
物件購入の段階でしっかりと
シミュレーションしてください。
特に融資条件は要注意です。
借入金額、金利、返済期間によって
毎月の利息と元金返済の金額が決まります。
キャッシュフローや税金に影響するのは
もちろんのこと、残債の減り方が変わるので
売却出口の手残りも違ってきます。
融資条件で事業収支が左右されますので、
くれぐれも慎重にお願いします。
で、
今日の本題ですがテーマは金利支払。
金利=お金のレンタル料
と覚えてください。
金利は元金返済に上乗せして
銀行へ支払うフィーです。
銀行からすれば金利は貴重な売上げ。
私たちは金利を支払うからこそ
多額の融資を長期間にわたって
借りられるのですね。
「 銀行はラクして儲けている 」
という声をたまに聞きますが、
ラクではないでしょうし
商売なので仕方がありません。
不動産投資家の側から見ると
金利支払はまるまる経費です。
現金支出=会計上の損失
という扱いですので、
わかりやすいですよね。
では、金利に関連して
見落としがちな損益ポイントとは、
一体何でしょうか?
低金利に目を奪われるな!
金利は低い方がいい。
誰もが考えることですよね。
基本的にはその通りで、
返済期間が同じであれば
金利が低いほど有利です。
ですが、
金利ばかりに気をとられ
返済期間を忘れると困ったことに
なる場合があります。
どうしてそんなことが起こるのか。
銀行への返済額が、
金利と返済期間で決まるからです。
■金利が低い場合と高い場合の比較(期間は同じ)
・金利が高いほど毎月の返済が大きくなる
・金利が高いほどトータルの返済が大きくなる
![](https://casegood.co.jp/wp-content/uploads/2016/01/20160111_kinri-e1452512312883-1.png)
金利が低い場合と高い場合の比較(期間は同じ)
■返済期間が長い場合と短い場合の比較(金利は同じ)
・期間が短いほど毎月の返済が大きくなる
・期間が短いほどトータルの返済は小さくなる
![](https://casegood.co.jp/wp-content/uploads/2016/01/20160111_kikan-e1452512450211.png)
返済期間が長い場合と短い場合の比較(金利は同じ)
金利が下がれば返済額は小さくなります。
一方で返済期間が短くなると、
毎月の返済額は大きくなります。
なので、
金利が下がっても返済期間が短くなると、
返済額が大きくなる場合もある。
そうなればキャッシュフローを圧迫します。
新規に融資を受ける場合だけでなく、
借換えをする際には気をつけてください。
耐用年数超過で融資を受けていたような場合は、
借換え後は返済期間が短くなりがちです。
金利が下がる!と喜んだのもつかの間、
返済期間が短くなってキャッシュが回らない、
ということがないようにご注意ください。
そしてもうひとつ、
金利が下がって損をするパターンを
お伝えしなければいけません。
低金利で税額アップ!?
安易な借換えで税引後の手残りが
少なくなってしまう場合があります。
例えば次のようなケースを
想像してみてください。
・借換えで金利が下がる
・返済期間を長めにとって、
・毎月の返済額をキープ!
一見、何も問題なさそうですよね。
ですが、この場合でも実は
損をしてしまう人がいます。
「節税効果を失う人」です。
どういうことか具体例を見てください。
▼借換え前
金利:3.5%
返済期間:32年
返済額:520万円/年
▼借換え後
金利:2.0%
返済期間:24年
返済額:520万円/年
金利が下がって返済期間が短くなり
年間の返済額が同じになりました。
なのでキャッシュフローは変わりません。
![](https://casegood.co.jp/wp-content/uploads/2016/01/20160111_karikae1-e1452513000692.png)
借換え前後の収支(キャッシュフロー)比較
ひとつ違ってくるのが返済額の内訳。
金利が下がるということは、
金利の支払いが減るわけですが、
返済額が変わらないということは
元金返済が増えるということを意味します。
金利が減ると経費が減ることになります。
一方で元金返済は経費になりません。
結果的に不動産所得が大きくなって
税額がアップします。
![](https://casegood.co.jp/wp-content/uploads/2016/01/20160111_karikae2-e1452513077324.png)
借換え前後の不動産所得の比較
不動産所得をマイナスにして
還付を受けているような場合は、
節税メリットを失います。
迷ったらシミュレーション!
金利が下がるとトクをすることも
もちろんあります。
・トータルの返済総額が小さくなる
・残債が減るのも早い
・長期保有で売却すると手残りが大きい
売却時は譲渡税がかかりますので、
やはり注意が必要です。
借換えで金利を下げようとするときは、
事前にしっかりと検証してください。
・キャッシュフローの変化
・不動産所得と課税額
・売却手残りと譲渡税額
迷ったらシミュレーションです。
金利だけにとらわれず
トータルの損益を見てください。
今日もがんばっていきましょう!
村上