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土地値以下物件は要注意?

村上です。

みなさんもお気付きだと思いますが、
数年前にあれだけ騒がれていた、

・不動産のIoTやテック

は、現時点において
ほぼ消滅してしまった感があります。

物件のマッチングサービスしかり…
VRによる内覧システムしかり…
家電や設備のIoT化しかり…

どれ1つとっても、
まともに定着したものが無いんですね。

逆に私は、これまでの慣習に根ざした、
不動産業界の揺るぎなさというものを、
改めて感じる機会も多いです。

例えば、
高齢のおじいちゃんがやっているような、
商店街にある不動産屋が、
昔と同じように対面で接客し、
FAXでのやりとりをする状況を見るにつけ、

不動産業界はこれでいいのかも…

そんな思いがよぎるんですね。

デジタル世代の優秀な研究者たちが、
おじいちゃんに太刀打ち出来ないという、
ある意味、痛快とも言える構図ですが、
そんな話はさておき…

IoTやテック、さらには近年のDXなど、
あらゆるテクノロジーを駆使しても、
不動産業界に定着しないというのは、

開発する側にも問題がある

ような気がしてなりません。

ファンドから潤沢な資金を受け、
優秀な頭脳を投入しても、
一向に定着しないのであれば、
それは単に、
作り手の問題でしかないのです。

特にその傾向は、
海外企業よりも国内企業のほうが、
より深刻で無いかと私は考えています。

例えば、一時期流行った
「声で知らせる」家電
というものがありました。

・洗濯が終われば音声で
・冷蔵庫の閉じ忘れも音声で

そんな過剰な機能を、
消費者は望んでいたでしょうか?
じゃないですよね?

研究者が描く理想を、
消費者に押し付けたところで、
定着する道理がないのです。

もちろんそれは、
今回のIoTやテックでも同じこと。

ニーズを真摯に読み取ることなく、

「これは不動産に使えそうだ」
「日本の不動産業界はもう古い」

などと決めつけ、
自らの理想を押し付けた結果、
どうなったかはご想像のとおりです。

消費者のニーズに寄り添い、
常に最適の解を提供し続ける

こんな、昔ながらのアナログさが、
デジタル全盛の現代においても、
ある意味健在だということを、
皮肉にもIoTやテック自身が、
証明してくれたのかも知れません。

「土地値以下」物件は要注意?

さて、本題です。

以前、当社YouTubeチャンネルの
視聴者さんから、

「土地値以下の戸建を検討しています。」
「リスクは低いと考えているのですが、
デメリットや注意点などはありますか?」

こんなご質問を、
いただいたことがあります。

確かに、土地値以下の物件が買えれば、
万が一、上物がダメでも損はしませんし、
何年か賃貸で回してから更地にすれば、
まとまった家賃収入を得ることも可能です。

そういう意味で、土地値以下物件は
個人的にも欲しいと考えているのですが、
だからといって、

「土地値以下なら買ってもOK!」

などと安易に結論付けるのは、
ちょっと待った方がいいと思います。

それは何故か?
土地値以下でもダメな物件とは?

というわけで今回は、
土地値以下物件の注意点について、
私なりに書いてみたいと思います。

土地値以下は本当に得か?

まず、1つ目のポイントとして、

本当に「土地値以下」なのか?

という点があります。

現時点で土地値以下だとしても、
地方や郊外の物件では、
売却時に相場が下がる可能性が、
十分に起こり得るもの。

土地値以下で買った物件を、
数年後に更地で売り出したが、
なかなか買い手が現れない…

そんなことが、特に
地方では良く起こるんですね。

もちろん逆に、
資産性の高い都心物件であれば、
将来の値上がりも期待出来ますが、
そもそもそんなお宝物件は、
個人投資家に回って来ません。

その辺を考慮した場合、
「土地値以下」が本当に得なのかは、
相場やエリアの違いによって、
評価が変わるというわけです。

更地にしたら大赤字かも…

次に、2つ目のポイントは、

・解体費用がブレやすい

ということ。

例えば、現時点で
2000万円の評価が付く土地を、
上物付きの1,980万円で
購入出来たとしましょう。

しかし、その土地が
高低差のきつい傾斜地にあって、

・敷地内に擁壁がある
・道が狭く重機が入れない

ような場合、一体どうなるか?

上物を解体して更地にするには、

・擁壁を修繕しなければならない
・重機を使わず人間の手壊しのみ

という、追加コストが掛かってきます。

特に、上物が築古だった場合は、
擁壁も同様に劣化している事が多く、
場合によっては、

擁壁の修繕だけで1000万円以上掛かる

といった最悪のケースも、
十分に考えられるのです。

そういう意味で、
傾斜地の土地値以下物件は、
くれぐれも注意が必要なんですね。

リフォーム費用は無視出来ない

最後に、3つ目のポイントとして、

・上物が本当に使えるのか?

というものがあります。

上物がタダで手に入ったとしても、
それを賃貸に出すことを考えれば、
まとまったリフォーム費用が、
どうしても必要になります。

特に、築古の戸建物件だと、
外壁や屋根、内装に至るまで、

数百万円単位の費用が掛かる

ことが珍しくなく、
取れる賃料相場を考えた場合、
回収までに年数が掛かるもの。

さらに、賃貸中の期間でも、

「水道から赤水が出る」
「ブレーカーが落ちる」

など、築古ならではの
トラブルが多発しますから、
家賃収入以上にコストがかさむ
という可能性も、
十分に考えられるのです。

手放しで飛び付くな!

このように、
土地値以下の物件が出たとしても、
手放しで飛び付いてはダメということが、
お分かりいただけたのではないでしょうか。

我々のようなプロの業者でさえ、
出口戦略を間違えることがあります。

相場が大きく変動したとか、
銀行融資が閉じてしまうなど、
不確定要素は幾らでもあるんです。

ましてや、物件を見慣れていない、
個人の投資家であれば、より慎重に、
物件を見極める必要があります。

さらに、土地値以下の物件が、
一般の不動産広告に出ている場合は、
何らかの問題があることも多いです。

土地値以下だから…
買っても損しないから…

という安易なマインドではなく、
通常の物件と同様、

運営から出口に至るまで、
精緻なシミュレーションを行う

これを欠かさないで下さい。

がんばりましょう!

村上

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