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高低差のある土地はダメ

村上です。

「建売アパートを検討するのは、
有りですか?無しですか?」

「建売業者の儲けが乗っかるので、
止めといた方がいいでしょうか?」

こんなご相談を受けることがあります。

確かに、建売のアパートは、
業者の利益が乗っかっているため、
「土地から新築」スキームに比べて、
利回りが落ちることは否定出来ません。

ただ、私はそれ以上に、

「AだからBに違いない」

という思考パターンについて、
どうも違和感があるんですね。

例えば、今回のような

建売アパート=儲からない

という判断にしても、
儲かる建売アパートがあったら、
それはそれでOKですよね?

事実、
あれだけ儲からないと言われた、
新築ワンルーム投資でさえ、
過去に物件を購入した投資家の多くが、

高値で売却に成功している

という事実があります。

そう考えれば、
仮に新築の木造建売アパートを、
1億円以上の高値で掴んだとしても、

将来的に1億円以上で売れればOK

ということになるでしょう。

私たち不動産投資家は、
儲けるために物件を買うのであり、
結果的に儲かるのであれば、

・新築ワンルーム
・郊外の木造アパート
・地方のRCマンション

どんな物件だって買えますよ。

とはいえ、
現時点で儲かるとは思えない、
または、リスクの
振れ幅が大きすぎる物件は、

やはり止めておいた方が良い

というのもまた事実です。

新築ワンルーム投資だって、
相場高騰で偶然儲かったようなもの。

販売業者の利益が分厚く乗っかる以上、

どう試算しても儲からない物件

であることは、
相場が高騰した現在も変わってはいません。

一か八かのギャンブルをやっていては、
いつか破綻の憂き目にあいます。

盲目的な思考に囚われることなく、

・より確実かつ
・より安定して儲かる

そんな物件を1つでも多く手に入れ、
盤石の経営を行いたいものです。

高低差のある土地はダメ?

さて、本題です。

私が相談を受ける内容の1つに、

斜面の土地が安いので、
購入検討したいのだが、
投資的にどうだろうか?

というものがあります。

首都圏で言えば、
横浜や横須賀エリアの丘陵地など、

階段状に建物が立ち並ぶ街

などがそうですね。

実際、敷地面積の広さに比べて、
割安な土地が結構ありますから、

投資対象として無視出来ない

物件かも知れません。

しかし、
以前のメルマガでも述べましたが、
高低差のある土地の購入は、

リスクの振れ幅が非常に大きい

という意味で、
個人的にはお勧め出来ないのです。

今回はこの、
高低差のある土地での投資について、
改めて解説してみたいと思います。

使える土地は意外に少ない?

なぜ、高低差のある土地で、
リスクの振れ幅が大きいのか?
それは主に、2つの理由によります。

1つ目は、

【利用出来る土地面積が少ない】

例えば、斜面の中腹に
1,000平米の土地があったとしましょう。

しかし、傾斜地は平地とは異なり、
1,000平米という広い敷地を、
丸々活用することは出来ません。

何故かというと、斜面を
造成で切り盛りしたところで、

土地を切った法面(のりめん)に、
建物は建設出来ない

からです。

傾斜の角度や地質など、
土地の状態はさまざまですから、
一概に良い悪いは言えないのですが、
多くのケースにおいて、

広い敷地にもかかわらず、
建築可能な部分が少ないため、
収支の合わないケースが多い

んですね。

土地の造成はコスト高

次に、高低差のある土地において、
起こりうるリスクの2つ目は、

【造成や維持費用が高額になる】

というもの。

例えば、未利用だった土地に、
新たな宅地を造成する場合、

・重機で高い斜面を削る
・出た土を低い部分に盛る

という、切り土や盛り土の
作業コストだけでなく、

・排出した残土の処分費用

も掛かかってきます。
実はこれが意外に高いのです。

というのも残土は、
ゴミのように燃やせないため、

専用の土捨て場に処分してもらう

ことになるのですが、
結構バカにならないんですね。

たかが残土、されど残土

十分に注意してください。

擁壁だけで1000万円以上!?

さらに、コスト高の要因となるのが、
土を削った後に斜面を補強する、

・擁壁の造成費用

です。

切った法面は、
そのままでは崩れますから、

・コンクリートブロックを貼る
・モルタルで埋める
・水抜きの排管を設ける

といった擁壁の工事が必要になります。

これも土地の傾斜によりますが、
高低差50cm程度の擁壁造成では、

幅1mあたり約30万円のコスト

が掛かると考えてください。

・長さ10mだと300万円
・長さ20mだと600万円

さらに、高低差が1m以上になると、
擁壁の造成費用だけで、

1000万円以上はざらに掛かる

わけで、それだけで収支が
合わなくなってしまうのです。

造成しないと分からない

結果的に、高低差のある土地では、
それらの造成コストが、

建物の建築費用より高くなる

ケースが珍しくありません。

私自身も、この業界に入りたての頃に、

・横浜
・横須賀
・逗子
・葉山

などの丘陵地エリアを
開発する仕事をしていたことがあり、
造成の難しさを肌身で経験しています。

さらに、これらのリスクを
より分かりにくくしているのが、

実際に造成してみないと
分からない点が多過ぎる

ことです。

重機を入れてみたら、

・地盤が予想以上に軟弱だった
・地下水が多く排水処理が必要

といった場合、
土地改良や擁壁の工法変更など、
新たなコストが多大に掛かります。

その擁壁は誰のもの?

さらに面倒なのは、

敷地に面する擁壁が
隣地の所有物だった

場合です。

自分の敷地内であれば、
どれだけコストが掛かろうと、
手を加えることは出来ますが、
隣地の所有物だった場合は、
勝手に手を出せませんよね?

もし仮に、

隣地の古い擁壁が今にも崩れそう

だったとしても、
隣地所有者の協力がなかったり、
所在が分からなかったりすると、

自分ではどうしようもない

事態に陥るのです。

結局、高低差のある土地の購入は、

・造成コストが余分に掛かる
・読めないリスクが多過ぎる

という点で、
開発のプロならともかく、
個人投資家にはお勧め出来ません。

たとえ割安な土地だったとしても、
安易に手を出すことは避けた方が、
投資的には安全だと思いますよ。

がんばりましょう!

村上

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