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地盤改良のリスクに備える!

村上です。

先日、ネットのニュースで、

東京都が全国に先駆けて、
新築一戸建て住宅に対し、
太陽光パネルの設置を義務付ける
制度改正に動き出した。

という報道を知りました。
とはいえ、

地球温暖化につながる
温室効果ガスの排出削減に向け、
都の条例によって太陽光パネルを、
新築の全戸に設置させる…

これはどう考えても、
個人的に愚策としか思えません。

太陽光パネルはそもそも、
設置しただけで終わりではなく、

・継続的な発電と電力供給
・定期的なメンテナンス

という維持管理が必要ですし、
設置導入のコストだけでなく、
処分時のコストも無視出来ないです

また、台風などによる突風で、
太陽光パネルが飛ばされるケースも、
近年は増えています。

さらに、平屋や二階建ての低層住宅に、
太陽光パネルを設置した場合、
周りの高層マンションなどに反射して、
近隣トラブルに発展することも、
珍しくはありません。

その上、太陽光発電は、
季節や天気、時間帯によって、
発電量が大きく変わりますから、
都内の一戸建てにパネルを設置した場合、
全ての電力を東電が受け入れてくれるかは、
はっきり言って当てにならないのです。

つまり…
その辺までひっくるめた上で、
条例による義務化について、
きちんと議論がなされているのか?

都民に理想とトラブルを押し付ける、
厄介な条例にならないのか?

その辺は、今後も十分に
ウォッチする必要があると思います。

そもそも、太陽光パネルの設置を、
東京都が推進したいなら、

補助金を上乗せして普及を促す

ぐらいの方が、
良かったような気がします。

だって「義務」ですよ。
強制力が伴う条例なのです。

今の都知事が、
その辺まできちんと理解した上で、
条例として義務化するのであれば、

相応の覚悟を持ってもらいたい

と思うのは、私だけでないはずです。

地盤改良のリスクに備える!

さて、本題です。

以前、当社の会員さんから

土地の購入を検討しているが、
地盤の改良工事が必要であり、
数十万円から200万円程度かかると、
業者から言われている。

コストの振れ幅が大きいので、
工事における注意点などあれば、
教えてもらえないだろうか?

このようなご相談を、
いただいたことがあります。

「土地から新築」投資を行う上で、
大きなリスクの1つとなるのが、

・地盤の質や状態
・埋蔵物の有無

これらは、
実際にその土地を掘ってみないと、
判明しないことが多いため、
コストのぶれ幅が大きくなりますし、
当然、投資にも影響が出てきます。

最悪の場合、200万円どころか

・1000万円以上の追加コストが掛かる
・土地そのものを諦めざるを得ない

というケースもあるんです。

そこで今回は、
地盤改良におけるリスクについて、
私がこれまで得た経験を基に、
分かりやすく解説したいと思います。

地盤は事前に調べられる?

まず始めに、
地盤改良工事が必要となる、
具体的なケースを見ていきましょう。

・湿地や川沿い
・斜面の盛り土
・埋め立て地

これらの土地は一般的に、
建物を支える地耐力に乏しく、
過去に地盤改良工事を施していないと、
新たな工事が必要となる場合があります。

とはいえ、地盤改良のリスクも、
必要な対策を行うことによって、
ある程度のリスク軽減は可能です。

例えば、エリアは限定されますが、
国交相がネットで公表している

国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」
https://www.kunijiban.pwri.go.jp/viewer/

をはじめ、全国の各自治体や、
民間のボーリング調査会社による
データベースなどもありますから、
積極的に活用することが出来れば、
その土地の地盤が、
大まかに分かることも多いです。

ただし、地盤のデータベースでは、
問題がないからといって、

「この土地は大丈夫だ」

とは、必ずしも言い切れません。

斜面の切り土と盛り土の境界は、
数メートル単位で変わりますし、
地下水位の違いなどでも、
地盤の強弱は大きく変わってきます。

そこがいわゆる、
実際に掘ってみないと分からない
難しさだとも言えるのです。

その埋蔵物はどうする?

さらに、地質や地下水など、
自然的な地盤の違いだけでなく、

・埋設廃棄物(ガラ)
・埋蔵文化財(土器)
・防空壕や井戸
・有害物質(ヒ素など)

これらの人為的な要素によって、
地盤改良工事が必要となるケースも、
珍しくはありません。

例えば、
有害物質が含まれている地盤では、

既存の土壌を全て除去し、
クリーニングや処分を依頼して、
新たな土に全て入れ替える

こんな面倒な作業が必要となります。

さらに、古い時代の土器など、
埋蔵文化財が発掘された場合も、
工事がストップするなど、
建物の建築に大きな支障が出ます。

ただし、埋蔵文化財の有無については、
各都道府県が公表している

埋蔵文化財包蔵地(ほうぞうち)

を調べることでエリアが分かりますし、
宅建業法の重要事項説明においても、
宅建士による告知義務がありますから、
あまり神経質になる必要はないでしょう。

リスクと向き合うか否か

では、このような
掘ってみなければ分からない
地盤のリスクに対し、
私たち不動産投資家は、
どのようなスタンスで臨むべきか?

おそらくこの課題は、
人によってまちまちなのでは?と、
私自身は考えています。

土木技術という専門分野に興味があり、
積極的に勉強したい人であれば、

・地盤の専門知識を勉強した上で
・改良工事の内容と相場を把握し
・建築や設計業者と対等に協議する

これらの面倒なプロセスに対し、
上手く立ち回れるかも知れません。

しかし、不動産投資家の多くは、

大きくブレやすい地盤リスクを、
わざわざ取りに行くぐらいなら、
他の土地を探したほうが…

という感じなんですね。

勉強して損はない

ただし、土地を仕入れて
新築に特化した投資をしたい場合は、
これらの地盤に対する勉強は、
やっておいて損はないと思います。

専門用語や難しい計算法など、
とっつきにくい部分もありますが、
実際に勉強してみれば、
そんなに難しいものでもないはず。

・専門書を2〜3冊買って読み込む
・ネット検索で知りたい知識を得る

まずは、この辺から
始めてみてはどうでしょうか?

ある程度、知識が蓄積出来れば、
建築や設計業者とも話が通じますし、
交渉だってやりやすくなります。

土の中という見えないリスクを、
知識という武器を備えることで、
なるべく可視化したいものですね。

がんばりましょう!

村上

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