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物件を買う前に出口を探れ!

村上です。

以前、コロナ禍において、
都内のラグジュアリーホテルが、

客室の一部を改装して、
オフィスとして活用する

いわゆる、
サービスオフィス事業を、
開始したことが話題になりました。

要は、ホテルが法人向けに、
事務所として使えるスペースを提供し、
それ以外の部分では、
宿泊客と同等のサービスを、
受けることが出来るというもの。

36㎡程度のオフィスを、
3名まで利用出来るというもので、
オフィス以外にも、専用のラウンジや
ミーティングルームを設け、
駐車場やプールなどの利用も、
人数限定で無料となるそうです。

その利用料金は、ひと月約60万円。

上質なサービスを受けながら、
ホテルの1室で仕事が出来るという、
新たな試みではあるのですが、
残念ながら私は個人的に、

ホテルの質が下がってしまう

ことへの懸念が、
拭えなかったんですね。

これが、ビジネスホテルや
シティホテルの事業であれば、
何の問題もありませんし、
むしろ歓迎したいのですが…

ホテルを利用する客の質を、
重視するラグジュアリーですよ。

オフィスにしてしまうと、
いろんな人間が出入りしますし、
Tシャツで仕事をするような、
ベンチャーが借りるかも知れません。

そんな人たちが、
ロビーをウロウロしたり、
ラウンジで騒いでいたりしたら、
一般の利用客はどう思うでしょうか?

「このホテルも質が落ちたな…」

ということになりかねません。

そもそも、これまで
地道に積み上げてきた
ブランドや信用というものは、
一度落としてしまったら、
元に戻すのが本当に大変です。

確かにコロナ禍ですから、
ホテル側としても、
苦渋の決断だったとは思いますが、
既存の顧客を失うような経営判断が、
今後どのような展開を見せるのか、
その動向を注視したいところですね。

物件を買う前に出口を探れ!

さて、本題です。

当社Youtubeチャンネルの視聴者さんから、

「物件購入前の段階で、
出口戦略を考えることが重要
と聞いてはいるのですが、
出来る限りの情報を集めても、
ざっくり計算になってしまいます」

「どのようにすれば、
より精緻な出口戦略を取れるのか?
具体的なノウハウを教えて下さい」

こんなご質問をいただいたことがあります。

私はことあるごとに、

物件購入という「入口」の前段階で、
物件売却という「出口」を想定しよう

ということを、
みなさんにお伝えしてきました。

不動産は安くない買い物ですし、
物件の売却が上手く行かなければ、

・次の買い手が付かない
・業者に安く買い叩かれる

ことにもなりかねませんから、
購入前に売却という「出口」を
きちんとシミュレーションすることで、
間違いのない物件購入が出来るわけです。

とはいえ、実際に物件を売却していたら、
当初の想定とは違った!
なんてことが珍しくないどころか、
むしろ当たり前に起こるんですね。

今回はそんな、
出口戦略のアプローチについて、
私なりに解説してみたいと思います。

多くの融資は積算評価で決まる

まず始めに、出口戦略というものは、
複合的な目線から導くことが重要です。

その2つは何か?というと、

・銀行に対する目線
・買主に対する目線

「銀行に対する目線」とは、
銀行が融資を引くために必要となる、

積算評価を知る

ことですね。

収益性の高い物件を買おうが…
どれだけ満室で回していようが…

売りたい物件の価格と、
融資の額に乖離が生じてしまうと、
買える投資家は激減してしまいます。

つまり、物件を売却する場合、
積算評価で融資を出す銀行が、

・どの程度の評価を出すのか?
・どんな投資家に融資するか?
・融資の上限はどのくらいか?

というシミュレーションを、

・土地の敷地面積
・土地の路線価
・建物の面積や構造
・建物の築年数

などのデータを積み上げながら、
導き出して行くのです。

その結果、自分なりの
積算評価を出すことが出来れば、

「S銀行なら金利△%で〇億円は出そうだ」
「ノンバンクなら耐用年数以上に出るな」
「返済比率△%で上限はこのくらいか?」

といった見当が、ある程度は付くはず。

つまり、融資的な側面から、
売却出口をどのように取るのかを、
積算評価を元に判断するというわけです。

次の買主は幾らで買う?

次に、2つ目の
「買主に対する目線」ですが、
これは公的な積算評価とは違い、
実際の資産価値を調べることになります。

例えば、

A区B町C丁目の土地は現在、
どの位の坪単価で取引されているか?

といった土地値を調べたり、
既存の建物が

・あと何年使用出来るのか?
・解体した場合の費用は?

または、賃貸によって

・どの程度の利回りが出るか?
・キャッシュフローはどの位か?

など、土地と建物の両面で

〇年後に物件を売却する場合、
次の買主は幾らで買うだろうか?

ということを、なるべく精緻に
シミュレーションするんです。

想定が当たるとは限らない

では、出口戦略の目線について、
もう1度まとめてみましょう。

購入したい物件が、
いつ、幾らで売却出来るか?は、

・融資がどんな条件で出るのか?

という融資的な目線とともに、

・実際の市場価値はどの程度か?
・賃貸で回した場合の利回りは?

という、買主の目線での評価を複合し、

〇年後に△億円ぐらいで
次の買い手が付くだろう

という目論見を、物件購入前に
シミュレーションしておくことが、
何より重要だということです。

しかし、言うまでもありませんが、
実際にその物件が幾らで売れるか?
ということは、誰にも分かりません。

かく言う私も、物件購入前に
想定した出口と違っていたことも、
決して珍しくはないんですね。

購入してからでは遅い

とは言いつつも、より精緻に
シミュレーションしておけば、
想定を大きく外すことはないですし、
購入価格でマージンを取っておけば、
多少のブレは吸収出来るものです。

私自身もそうやって、
定期的に保有物件を評価し直すことで、
軌道修正を図るようにしていますし、
これまで損を出したこともありません。

何度も言うようですが、重要なのは
物件購入前に売却を想定しておくこと。

物件を買ってからでは遅いですよ。

がんばりましょう!

村上

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