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住宅ローンの不正利用

村上です。

以前、NHKのニュースで、
個人の保有する預金や株式などの
金融資産が2023年3月末の時点で、

2,043兆円となり過去最高を更新した

という報道がありました。

このところの株価上昇などが、
資産を増加させた主な要因であり、
ある意味、当然の結果だと思います。

2,043兆円もの資産があるなんて!

と思う人がいるかも知れませんが、
日本の人口1,257億人で均等に割れば、

一人当たり1,625万円程度

まぁ、有るところには有るという
イメージではないでしょうか。

もちろん、この数字に
不動産は算入されていませんから、
個人保有の不動産まで含めれば、

個人の資産評価額は大幅に増える

ことは、間違いありません。

一方、そんな資産と無縁どころか、
日々の生活だけで精一杯という貧困層も、

日本国民の15.7%に達している

という調査結果が出ています。

ここ数年のインフレによって、

富める人はさらに富を蓄え
貧しい人はさらに困窮する

という二極化が、かつて無いほどの
勢いで加速しているのですが、
そんな二極化も考えようでは、
正常な資本主義国家の姿と言えるはず。

少なくともこれまでの日本は、

世界で最も成功した社会主義国家

と揶揄されるぐらい、
貧しい人にも平等に権利が与えられる、
恵まれた国の1つでした。

例えば、他の先進国と比べて

・高い教育水準
・安価な医療や福祉
・失業給付や生活保護

の充実など、たとえ貧しくても、
日々の生活を破綻させることなく、
誰もが再起出来るチャンスが
与えられていたのです。

そういう意味で現代の日本は、

頑張る人がきちんと報われ、
そうで無い人は相応に暮らす

という真っ当な二極化が、
やっと訪れたとも言えるのです。

もちろん、身体や精神を病むなど、
頑張りたくても頑張れない人を、
置き去りにするわけじゃありません。

一定のセーフティーネットは維持しつつ、
チャンスがあればいつでも再起出来る
制度を構築することで、

世の中の頑張る人がもっと増える

そんな好循環が加速することを
期待して止みません。

そういう意味で、
日本人の個人資産は今後も、
着実に増えてもらいたいですね。

住宅ローンの不正利用

さて、本題です。

以前、大手不動産業者の
複数の営業マンが顧客に対し、

住宅ローンを組んで
購入した住宅を
賃貸に出すよう助言し、
自社の新築物件を
購入するよう勧誘している

という記事を、
一部の週刊誌が報じました。

これまで、
自宅を購入するために
利用する住宅ローンを、

最初から賃貸目的で借りる

という契約違反行為は、
小規模な業者において、
少なからず存在していましたが、

東証一部の上場企業グループ

ともなれば、
話は大きく変わって来ます。

今回はそんな、

住宅ローンを賃貸目的で借りる

という不正利用について、
解説してみたいと思います。

どうして問題なのか?

まず始めに、住宅ローンを
賃貸目的で借りることが、
なぜ問題になるのか?
おさらいしておきましょう。

住宅ローンはそもそも、

・審査が比較的緩い
・低金利で借りられる
・長期の返済もOK

という優遇がなされています。

これはあくまで、
融資を受けた本人や家族が
自分達で住むために借りる
ローンだから。

自己居住用の不動産であれば、
滞納や未払いといったケースが、
比較的起こりにくいからです。

つまり、使い道を限定することで、
有利な融資が提供出来るという、
バランスの上に成り立っているわけで、
賃貸住宅の建築といった、

自己居住用の目的から逸脱した

使い道を、金融機関は
原則として認めていないのです。

途中で貸すなら例外もあり

住宅ローンを、最初から
賃貸目的で借りたことが、
明らかとなった場合、
金融機関は契約上、

重大な信用毀損行為として
期限の利益を喪失させ、
ローンの債務者に対して
残債の一括返済を求める

可能性があります。

とはいえ、最初から
賃貸目的で借りるのではなく、

返済期間中に転勤を余儀なくされた

など、止むを得ない事情によって、
空き部屋を賃貸に出すなどの行為は、
例外的に認められる場合もあります。

ただし、その場合も
金融機関に届け出た上で、
賃貸住宅向けの融資に切り替えるなど、
融資条件が厳しくなりますから、

金融機関に黙って賃貸に出し、
優遇された住宅ローンを継続する

というケースが、
後を絶たないんですね。

以前はもっと緩かった

実はこのような、
自己居住用の住宅を途中から
賃貸に出す行為について、
以前はさほど大きな問題と
されていませんでした。

要は、今より緩かったんです。

例えば、大企業や金融機関では、
数年レベルで転勤を繰り返す
社員が数多くいるわけで、

住宅を購入した後で転勤になった

というケースも珍しくないですから、
割とグレーゾーンな扱いでした。

また、公的な金融機関である
住宅金融支援機構(旧公庫)でも、

届出さえすれば許可は必要ない

というレベルだったのです。

それが、現在のように厳しい
ルールに改められたのは何故か?

先ほども述べたように、
明らかな不正利用が横行したためです。

上場企業のスキャンダル

さらに悪質なのは、当初から
賃貸目的であるにもかかわらず、
金融機関に自己居住用と偽り、
住宅ローンを借りるケースです。

これは、先ほど述べた
信用毀損行為に当たるだけでなく、

詐欺罪として刑事責任を問われる

可能性がありますから、
くれぐれも注意が必要です。

さらに、同様の行為で
不動産業者などが客をそそのかし、
賃貸用住宅を取得させるケースも、
これまで多々ありました。

業者の営業マンが
賃貸向けの物件を販売するために、
違法行為だと分かっていながら、
客に住宅ローンを組ませるのです。

これらは主に、
会社の信用毀損を厭わない
小規模業者が加担していたのですが、
それが今回、コンプライアンスが
厳しくチェックされているはずの、

東証一部の上場企業グループ会社

の社員が関与したというのですから、
社会的にも大きなスキャンダル
であることは間違いありません。

住宅ローンはどうなる?

今回の不正が、
住宅ローンの貸し出しにおいて
どのような影響を与えるのかは、
まだ見通せませんが、

厳格化することが有っても、
緩くなることは無い

ことは確かです。

とはいえ、現代において

同じ住宅に数十年住み続ける

という個人のライフプランが、
減少して来たこともまた事実。

不正を防止しつつも、
より柔軟な住宅ローンの利用に向け、
金融機関はもちろん金融庁も、
本腰を入れる必要があるでしょう。

では、今回はこの辺で。

村上

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