村上です。
ここ数年の間に、
不動産のクラウドファンディングが、
随分と台頭した感があります。
・少額で始められる
・比較的ローリスク
といった気軽さから、
人気を博しているようですが、
私は個人的に、
クラファンに投資するぐらいなら、
自分で物件を買ったほうが
よほどマシなのでは?
という思いが拭えません。
そもそも、クラファンが扱う物件は、
市場で売れない物件であることが、
殆どなのでは?という印象です。
例えば、買い手がすぐ付くような
優良物件であれば、
銀行がきちんと融資しますから、
クラファンという手段を使って、
こまごまと小口の資金をかき集める
必要は基本的にないはず。
もちろん、資金を1から募って、
何かのプロダクトを完成させるような、
ものづくりのクラファンであれば、
大いにやってもらっても構いません。
しかし、すでに現物が存在し、
銀行の融資も引ける不動産において、
クラファンは馴染みが悪いんですね。
言い換えれば、銀行の評価が出ない、
買い手が付かない物件だからこそ、
クラファンで回そうと考えるわけで、
そこに投資の旨味はないと思います。
実際、私が見たクラファンの物件も、
その多くが、どう頑張っても
売却出来ないようなダメ物件でした。
結局、不動産のクラファンは、
お金のない業者が、
お金のない人たちから、
お金を少しずつ集める
という、ある意味
貧困ビジネスに近いものではないかと、
個人的に考えているぐらいです。
言うまでもありませんが、
儲からない物件に
投資する意味はありません。
同じ少額を投資するなら、
NISAのほうがよほどマシですよ。
まぁ、どうしてもやりたい!
というのであれば、
止めることはしませんけどね。
そんなこんなで結局のところ、
不動産クラファンのブームは、
いずれ下火になるのではと思います。
固定資産税評価額が出る物件
さて、本題です。
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決算書の貸借対照表(B/S)を、
改善する目的で、実売価格より
固定資産税評価額の高い、
郊外の築古戸建の購入を
検討しています。
しかし、税負担が重くなると、
相対的なキャッシュフローが減る上、
利回りが悪化することも避けられません。
この場合、
キャッシュフローを維持することと、
B/Sを改善することは、
相反することのように思いますが、
銀行の融資を引くためには、
固定資産税の支払いが増えるのも、
止むなしと考えるべきでしょうか?
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このようなコメントをいただきました。
とても良い質問だと思います。
確かに、融資を受ける目的で、
評価の出る物件を選ぶことと、
実際の収益性は別問題であることに、
間違いはありません。
ただし、融資を優先するあまり、
経営が苦しくなっては、
本末転倒であることも事実。
今日はそんな、
融資評価と経営の関係について、
分かりやすく解説したいと思います。
なぜB/Sを改善するの?
まず始めに、
融資を受けるにあたって、
なぜ決算書のB/Sを
改善しておく必要があるのか?
という点について、
おさらいしておきましょう。
銀行などの金融機関は、
融資の可否を判断するにあたり、
個人や法人の経営状況が、
安定しているかどうか?
という点を重視します。
直近の決算書における、
・貸借対照表(B/S)
・収支計算書(PL)
・キャッシュフロー計算書(CF)
いわゆる財務三表のうち、
貸借対照表のB/Sにおいて、
資産が負債を上回る「資産超過」であれば、
融資を受けることは比較的容易ですが、
逆に、負債が資産を上回る「債務超過」では、
金融機関は融資をしたがりません。
そりゃそうですよね?
借金を踏み倒しかねない友達に、
お金を貸したくないのと同様、
金融機関の融資担当も、
経営状況が思わしくない融資先に対し、
お金を貸すことはリスクだと考えるのです。
結局、B/Sを改善する最大の理由は、
金融機関がB/Sをどう評価するかで、
融資審査の結果が大きく変わるから
というわけです。
債務超過で融資は出ない
もちろん、B/Sを改善する作業は、
決して容易なものではありません。
資産性の低い物件を高値で購入したり、
フルローンで物件を購入したりすると、
殆どのB/Sは先ほど述べたように、
負債が資産を上回る「債務超過」
に振れてしまいますから、
金融機関は次の融資を出しません。
結局、
1棟目の融資が無事引けたとしても、
次の融資が頭打ちになるんですね。
そのため、多くの不動産投資家は、
次の融資を有利にする目的で、
・月々のローン返済で資産を増やす
・債務超過の物件を高値で売却する
・資産性のある物件を安値で購入する
ことで、決算書のB/Sを
少しでも改善しようと努力するわけで、
冒頭の相談者さんも、そのような思いから、
固定資産税評価額の高い郊外の戸建を、
購入検討しているんですね。
結局は金融機関次第
さて、ここからが本題ですので、
よく読んでおいてください。
地方のだだっ広い土地に、
・ポツンと上物が建っている
・広い駐車場が確保されている
そのような物件は基本的に、
固定資産税の評価額に対して、
実売価格は大幅な割安に振れます。
しかし、その事実を
金融機関はプラス評価するのか?
というと、その限りではありません。
そもそも、融資審査においては、
・実勢価格(=相場)
・簿価(=購入価格)
・固定資産税評価額
という、大きく分けて
3つの評価額が存在しています。
これまで述べてきたように
融資では固定資産税評価額が
主軸の評価基準となりますが、
・実勢価格も評価する
・簿価も評価する
という金融機関が、
意外に多かったりするのです。
結局、B/Sの改善が
融資に直結するかどうかは、
融資する金融機関による
というのが、
正直なところなんですね。
融資の前に経営ありき
そのような事情もあり、仮に
固定資産税評価額の高い物件を、
安値で購入したとしても、
融資審査でプラスとならない
可能性があるということを、
認識しておいてください。
その上で、数多くの金融機関を回り、
融資担当からヒアリングするなどして、
どの金融機関がどんな評価をするのか?
慎重に探っておくことも重要です。
そもそも、地方郊外の物件を買って、
キャッシュフローが厳しくなったり、
埋まらない空室に苦しむようであれば、
融資以前の問題ですよね?
融資の前に経営ありき
そのことを、
忘れないようにしてください。
がんばりましょう!
村上