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引渡し前の物件に残置物?

村上です。

以前、ネットニュースで
こんな話題がありました。

******

今、若者の間ではプロポーズの際、
指輪や結婚式ではなく、
2人の生活のためにお金を使いたい
という堅実派が増えている。

こうした中、
指輪の代わりに不動産を贈るという、
新たなサービスも登場している。

******

このニュースを最初に聞いた時は、
思わず耳を疑いました。

このサービスの趣旨は、

結婚を機にペアローンを組もう!

というものらしいのですが、
例えばプロポーズの際に、

「家の持分をあげるから結婚して」

なんて話があったとしたら、
不動産屋の私は、
全力で止めに掛かると思います。

後でグダグダになるから、
絶対に止めとけと(笑)

そうでなくとも現代の日本では、
マイホームを共同名義で買うことが、
当たり前のように行われています。

しかし、問題はその後。

浮気などの理由で夫婦が決裂し、
離婚に至った場合に、
残ったマイホームをどうするか?

不動産を共有していると、
その点が非常にややこしいのです。

もちろん、そんな心配もなく、
一生添い遂げる夫婦もいるでしょう。

35年という長期の住宅ローンを完済し、
老後もそのまま住み続けるケースも、
ごく普通にあると思います。

しかし、現代の日本においては、
3組に1組が離婚するという、
高い離婚率が問題となっているわけで、

マイホームをプロポーズに使う

というのは、
どうにも理解に苦しむんですね。

ただ、この話にはウラもあって(笑)

とある大手不動産業者が、
プロポーズ応援大作戦と称し、

「指輪代わりに家を婚約の証に」

という触れ込みで、
新築物件の営業を行うという
目論見があるようなのです。

自社物件さえ売れれば、
夫婦がどうなろうと関係ないわけで、
そんなキャンペーンをする側もアレですが、

乗っかるカップルもどうよ?

というオチになりそうです。

引渡し前の物件に残置物?

さて、本題です。

私のところに、
以下のようなご相談がありました。

*****

築古のアパートを
全空引き渡しの条件で契約し、
近日中に決済する予定ですが…

1部屋だけ残置物が沢山あり、
売主さんに問い詰めたところ、
退去時にトラブルが発生し、
入居者が怒って荷物を全部
置いて出て行ったとのこと。

残置物は全て、売主側の責任で
撤去することになっているものの、
自分が購入した後に元入居者から、
賃借権を主張されないだろうかと、
心配になっています。

*****

とのこと。

売買契約上、
残置物の処分は売主が行うという、
取り決めがされていれば、
基本的に買主の責任はありません。

とはいえ、元の入居者は
そんな経緯を知らないわけで、

「荷物をどうしてくれるんだ!」
「高額な物だから弁償しろ!」

などと言いがかりを付けて来たら、
誰だって困りますよね?

今回はそんな残置物の扱いについて、
少し書いてみたいと思います。

残置物の取り扱いについて

単身高齢者の死亡から、
滞納者の夜逃げに至るまで、

残置物の処分リスク

は、不動産投資において、
常に付きまとう存在の1つ。

一般的な退去においては、
契約に原状回復の取り決めがある限り、
残置物が発生する余地はありませんが、
自然死や自殺、夜逃げの発生など、
そうとはならないケースも
当然に起こり得るわけです。

ちなみに、借主が貸主に無断で、
置いて行った物品は基本的に、

所有権は借主に帰属している

ため、オーナーや管理会社が、
ゴミとして勝手に処分したり、
次の借主に使わせるようなことは、
民法上の損害賠償責任を負うだけでなく、
器物損壊罪として、
罪に問われる場合があります。

そんなわけで、
入居者の退去時においては、

残置物の撤去や処分について、
事前に入居者の同意を得ておく

ことが、重要なポイントになります。

割といい加減だったりする

とはいえ、
残置物をどう扱うかについては、
割といい加減なケースも多いです。

例えば、オーナーや管理会社が、
処分費用の掛からない残置物を
単なるゴミとして処分することは、
日常的に行われていますから、
同じ残置物であっても、

どこからがゴミで
どこからがそれ以外か

その線引きは曖昧なんですね。

「勝手に置いていったんでしょ」

ぐらいの勢いで、家電などを
そそくさと処分する管理会社も、
結構多いのでは無いかと思います。

しかし、そんな行き違いから、
裁判に至る場合も稀にあるわけで、
特に、高価と思われるものや、
クルマや家具などの大型のものは、
より慎重にならざるを得ません。

特に、昨今の民法改正によって、
その扱いは厳格になっていますから、
無用なトラブルは防ぎたいものです。

円満な解決を目指そう

ではここで、
冒頭のご相談者さんのケースに、
話を戻しましょう。

ご相談者さん(=買主)の場合、
売買契約に謳っているかはさておき、

残置物は売主側の責任で撤去する

という取り決めがなされている限り、
正々堂々と売主に対し、
残置物の撤去を要求するか、
処分に掛かった費用を請求するなど、
粛々と対応すれば良いと思います。

決済が近日中というのであれば、
残置物の処分が完了するまで、
引き渡し日を延長するとか、
契約不履行による損害分を
値引きしてもらうとか、
やりようは幾らでもあるはずです。

さらに、
賃貸借契約を締結したのは、
売主と元の入居者ですし、
その契約も既に終了したわけで、
引き渡し後の残置物について、
責任を負う可能性も低いと思います。

もちろん、前半で解説したように、
残置物は安易に捉える問題で
ないことは確かですから、
仲介の担当者ともよく相談して、
より円満な解決を目指して下さい。

がんばりましょう!

村上

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