コン・パス代表、村上です。
前回に続いて、
もう1回だけ質問させてください。
あなたは、お金を好きですか?
ん!?
何度もしつこいな村上さん、
好きに決まってるじゃん。
月末にネットバンクで
残高をチェックしているけど、
家賃がドカンと入る瞬間は
興奮してゾクっとしちゃうよ。
買いモノもいいけど
やっぱりお金!
貯金サイコーだね!!
…そうですか、間違いなくお金好きですね。
そんなにお金を大切に思うあなたなら、
もちろん「財務三表」をマスターしていますよね?
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財務三表=お金の診断書です。
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財務三表は企業の経営状態を
知るためのツールです。
銀行もあなたの不動産事業を
財務三表で眺めてみて
融資するかしないか決めます。
不動産事業を拡大したければ、
財務三表をマスターしてください。
(1)収支計算書
(2)損益計算書
(3)資産残高表
この3つで、現金の流れ、
税金の計算、資産の増減を把握します。
それぞれ役割があるんですね。
財務三表をマスターすると
現金・税金・資産の相関関係を
知ることができます。
ここまでが前回のお話しです。
で、
今回は(1)と(2)のお話。
収支計算書は現金の出入りを見ます。
損益計算書は売上、経費、利益、税金を
計算するための表です。
似ているようで違う。
それぞれ説明しますね。
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お金の出入りを漏れなく把握する
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まずは収支計算書の話から。
収支はリアルなお金の動きなので
とってもシンプルです。
が、
忘れてはいけない
基本的なことがあります。
『 お金の出入りを網羅すること 』
抜け漏れがあると話になりません。
現金がなくなれば
事業はストップですから。
業者が作る収支計画には
入っていない支出があるので
気をつけてください。
・家賃が1000万円入って
・銀行へ500万円返済して
・管理費を50万円差し引かれて
・電気水道代を20万円払って
・固都税を80万円払って…
350万円も残るじゃん!!
と思ったら大間違い。
初心者が見落としてしまうのが、
「入退居コスト」です。
・修繕費
・広告費
・空室ロス
一般的に毎年4分の1程度の入居者が入れ替わります。
入退居が発生する分コストがかかる。
大まかにいうと、
修繕費が家賃の3ヶ月分、広告費が2ヶ月分、
空室が1ヶ月とすると全部で6ヶ月分ですね。
4分の1の部屋は6ヶ月分つまり半年分しか
家賃が入らないのです。
だから入退去コストは年間家賃の1/4×1/2。
・家賃が1000万円入って
・銀行へ500万円返済して
・管理費を50万円差し引かれて
・電気水道代を20万円払って
・固都税を80万円払って…
で、入退去コストが125万円
(1000×1/4×1/2)
手残りは225万円。
ということになります。
…わかったよ、村上さん、
入退去コストね。
見落とすと怖いよね。
で、手残り225万円は使っていいんでしょ?
やっぱりそう思いますよね。
そうとも限らないので、
続きを聞いてください。
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使っていいのは「税引後」キャッシュフロー
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家賃から、返済、管理費、電気水道代、
固都税、入退去コストを差し引いて、
手残りは225万円になりました。
もうひとつ重要な支出があります。
「所得税」です。
手残り225万円は「税引前」キャッシュフロー。
全額使ってしまうと税金が払えなくなります。
手残りを使うなら「税引後」にしてください。
え?税金?
あ~、そっか忘れてた。
手残り225万円だから。
そこから払うことになるんだね~。
225万円に税率をかければいいんだっけ?
いいえ。
手残りと課税所得は違います。
所得税は課税所得に税率をかけて求めます。
695万円超、900万円以下なら23%
900万円超、1,800万円以下33%
課税所得は損益計算書から計算されます。
ここからが今日の本題ですね。
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収支計算と損益計算は異なる
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手残りと課税所得は計算方法が違います。
▼収支計算
入金ー出金=手残り
▼損益計算
売上ー経費=課税所得
ここで、出金と経費に注目してください。
出金=経費
と直感的に考えてしまいますが、
出金≠経費
別モノなのです。
ポイントは、
金利、元金、減価償却。
ひとつずつ解説します。
▼金利
銀行返済は金利部分と元金部分があります。
金利部分はお金も出ていくし経費にもなる。
お金のレンタル料として銀行へ払うものなので
そのまま経費になります。
▼元金
元金部分はお金は出て行くのに経費になりません。
現金が減った分借金が減って、
資産と負債が同額ずつ小さくなることになるので
純資産は増減なし、儲けも損もないからです。
銀行返済とひとまとめで考えてしまいますが、
金利と元金で扱いが違うというのがポイントですね。
▼減価償却
お金は出ていかないのに
経費にできるものもあります。
それが減価償却。
建物や設備は経年劣化します。
資産価値が減る分を損失とみなして
経費に計上できるわけです。
とにかく、
出金≠経費
ということを覚えておいてください。
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金利・元金・減価償却をコントロール
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今日の事例を
収支計算書と損益計算書との対比で
整理してみましょう。
税引前CFが225万円
に対して
課税所得が193万円で
所得税が64万円(税率33%)
差し引き
税引後CFが181万円。
これが使っていいお金です。
数字は以下の購入条件を
想定して算出しました。
購入金額 1.2億円
建物分 6000万円
土地分 6000万円
構造 RC
築年数 30年
借入金額 1.2億円
返済期間 30年
金利 1.5%
今回の例では、
税引前CF>課税所得
となりました。
この場合は税金面で
トクをしたことになりますね。
なぜこうなったかというと
元金返済<減価償却
であったからです。
反対に、
元金返済>減価償却
となってしまうと
損をすることになります。
税引前CF<課税所得
余分に所得税を
払うことになります。
ひどくなると
納税するためのお金がない!
ということにもなりかねません。
ですので、
元金返済と減価償却の
大小関係には
気を付けましょう。
元金返済額は融資条件で、
減価償却額は購入金額の
土地・建物比率で決まります。
ということは、
コントロールできる
ということになりますね。
・自己資金を入れて借入を減らす
・返済期間を長くする
・建物比率を大きくする
などして、
元金返済<減価償却
をキープしてください。
ただ、これも度が過ぎると、
売却時に困ったことになるので
要注意です。
元金返済が小さいと残債は減らず、
減価償却が大きいと簿価が減る。
残債>簿価
手残りよりも譲渡所得が大きい
ということになってしまいます。
売却手残り(税引前)=売却金額-残債
譲渡所得=売却金額ー簿価(資産価値)
手残り<譲渡所得
税金は譲渡所得に対して
かかってくるので
余計に払うことになります。
バランスが大事ですね。
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まとめます
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収支計算では退去コストを忘れないでください。
年間家賃の1/4×1/2くらいです。
キャッシュフローを使っていいのは「税引後」だけ。
税金を払えなくなる場合もあるので
気を付けましょう。
手残りと課税所得は計算方法が違うからです。
税引前CF>課税所得にするには
元金返済<減価償却をキープしてください。
元金返済額は融資条件で、
減価償却額は購入金額の建物比率で、
ある程度はコントロール可能です。
ただし減価償却をやりすぎると
売却時に手残り<譲渡所得となって
困るので注意してください。
ということです。
次回は資産残高表についてお話ししますね。
今日もがんばっていきましょう!
村上