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都心割安物件のワナ。

コン・パス代表、村上です。

突然ですがこんな物件は
ご興味ありますか?

・荒川区
・築20年超の鉄骨5階建
・1.5億円超
・表面利回り9%

買いだ!

と思った方はご注意ください。

購入条件次第では、
税引き後赤字になるかもしれない
不確定要素があるからです。

実はこの物件、お客様から
相談のあった実際の案件です。

Aさんとします。

他社で購入した物件の
収支が心配だということでした。

Aさん曰く、
お買い得だと思ったのに
思ったほどお金が残らなそうだ、と。

確かに物件は良いです。

場所、構造、築年数のわりに
割安な価格で購入されました。

ですがシミュレーションを
してみると初年度はともかく
2年目以降ずっと赤字。

税引き前のキャッシュフローは
250万円くらいあるのですが、
所得税がほとんど同額なのです。

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赤字の原因は融資条件です。

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・借入期間が短い(20年)

・金利が低い(1.0%)

金利が低く短期間で返済するので、
返済総額は小さくなります。

普通に考えれば良いことなのですが、
収益不動産ではこれらが
裏目に出ることがありますので要注意。

一つ目のポイントは返済期間です。

期間が短くなれば当然、
月間、年間の返済額が増えます。


返済期間と返済額

家賃収入に対する返済比率は
50%以下が理想といわれています。

Aさんの案件では、
年間1445万円の家賃収入。

対して返済金額は、
年間880万円の返済。

返済比率60%です。

これだけでアウト!
というほどではありませんが、
余裕のない経営になってしまいます。

都心でほぼ満室稼働だからまだしも、
万が一空室が増えてくると
キャッシュフローもマイナスになります。

そうなれば毎月持ち出しということ。

何のための投資か分かりませんね。

Aさんは今のところ
プラスのキャッシュフローです。

ですが、税金面で課題を抱えています。

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所得税>キャッシュフローの逆転現象。

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二つ目のポイントです。

元金返済割合。

低金利の場合、返済のほとんどが
元金になります。


金利と返済額

元金返済分は経費になりません。

返した分だけ負債が減って
純資産(含み益)が増えるからです。

キャッシュは出ていくのに
損失にできないのがイタイところ。

Aさんの例を具体的に見てみましょう。

・家賃収入1445万円
・運営費  300万円
・支払利息 130万円
・元金返済 750万円
・減価償却 400万円

この場合、経費にできるのは
運営費+利息に減価償却を加えて
合計830万円。

損益は次の通りになります。

家賃収入-運営費-支払利息-減価償却
=1445万円-300万円-130万円-400万円
=615万円

615万円が課税対象ですから、
税率40%なら246万円の納税ですね。

※減価償却は、建物が劣化する分を
損失計上できるという会計ルールで
実際の支出はありません。

一方でキャッシュフローはどうでしょうか。

家賃収入-運営費-支払利息-元金返済
=1445万円-300万円-130万円-750万円
=265万円

減価償却分の支出は実際にはありませんが、
元金返済分の750万円が出ていきます。

差し引きキャッシュフローが265万円。

手元に265万円しかないのに、
246万円の税金を納めるのかよ?
と思いますよね。

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税金で手残りキャッシュが「パー」

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理不尽な話です。

そんなわけでAさんのケースは
危うく、所得税 > キャッシュフロー
となるところです。

折角の都心割安物件なのに、
融資条件一つでお金の残らない
投資になってしまうんですね。

で現状はともかく、
Aさんはこれからどうすべきか。

お金を残すには方向転換が必要です。

次回に続きます。

今日もがんばっていきましょう!

村上

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