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賃貸の仲介手数料は高いのか?

村上です。

以前、
年収24億円の不動産王
「〇〇のトランプ」が銀行取引停止
というニュースが流れました。

この方は一代で事業を拡大し、
兵庫県内の地方都市で、

所有物件:4,500戸以上
年間賃料収入:24億円超
負債総額:320億円

といった、桁外れの
経営規模を誇っていたようです。

私は面識がないので、
人柄などは分からないのですが、
320億借りられるって、
すごいとしか言いようがありません。

ただ、私が気になったのは、
記事の中にあった
「空室率30%台」
という数字。

・・・うーん、
いくらなんでも高すぎませんか?

ちなみに、うちの会社で
管理している物件の総戸数は、
約2,000戸です。

しかし、平均稼働率は
95%を切ることはまずありません。

いくら地方都市とは言え、
総額320億の借金をして
60%超しか客が入っていない

というのは、
どれだけ下手な買い物をしていたの?
と思ってしまいます。

報道によるとこの方は、
「見た物件は必ず買う」
と言っていたそうです。

え?大丈夫?
って思いますよね。

インカムゲインをきちんと狙うなら、
こんな買い方はしないはず。

となると、
この方はもしかすると、

・このエリアの物件を買い占め
・賃料相場も自らがコントロール

するという、支配的な経営を
目指していたのかも知れません。

確かに、この業界には
「数の理論」
というものが存在します。

どれだけ債務超過であろうと、
経営規模さえ拡大しておけば、

キャッシュフローが回る限り
銀行は会社を潰そうとしないものです。

この方自身も、それを
理解していたからこそ、

膨大な借金を積み上げながら
地域一帯をすべて買い占めて、

何らかの出口を取ろうと模索
していたのかも知れません。

しかし、今回は結果的に
銀行自らが引き金を引く
ような事をしています。

融資した多くの銀行を巻き込んで、
この先どうなっていくのか…

気になるところではあります。

賃貸の仲介手数料はどうなる?

さて、本題です。

記憶に新しい方も多いと思いますが、
少し前、以下の裁判が話題になりました。

・賃借人が仲介業者に支払った
1ヶ月分の仲介手数料のうち、
0.5ヶ月分の返還を求めるというもの。

その裁判について、最近、
「大手仲介の東急リバブルが敗訴」
というニュースが報道されました。

これ、私たちの業界内では
「プロ市民にやられたな…」
という印象なんです。

そもそも、
仲介手数料の支払いで
賃借人とトラブルになるケースって、
あまり聞かないですよね?

ではなぜ今回、

こんな裁判になったのか?
大手仲介が負けてしまったのか?

これを、私なりに
解説してみたいと思います。

賃貸の仲介手数料とは

最初に、賃貸における
仲介手数料の規定について
おさらいしておきましょう。

現在の宅建業法では、
「仲介手数料の上限額」
について、

以下の
「国土交通大臣の定めるところによる」
と規定しています。

――――

宅建業者が貸主、借主の
双方から受け取ることができる
仲介手数料の合計額は、
家賃の1ヶ月分(税別)以内とする

居住用物件の仲介の場合、
一方から受け取る仲介手数料の額は
「媒介の依頼を受けるにあたって
依頼者の承諾を得ている場合を除き」
家賃の0.5ヶ月分(税別)以内とする

――――

このように
ハッキリと明記されているのに、
どうしてトラブルに
なるのか、解せない感じがします。

なぜ裁判になったのか?

通常は、賃借人から
事前に承諾を得てさえいれば、
業者が受け取る仲介手数料は、

「原則0.5ヶ月分→1ヶ月分」

でも構わないという解釈であり、
一般的な賃貸借契約においても

「事前に賃借人から承諾を得て
1ヶ月分の仲介手数料をもらう」

ことが慣例となっています。

別にこれは、
悪しき慣習でも何でもなく、

きちんと事前に説明して、
賃借人から承諾を得ていれば
「正々堂々ともらえる手数料」
なんですね。

業界大手である東急リバブルが
そのために必要な
「事前説明」をしていなかった…

ということは、
まずあり得ないと考えられます。

では、なぜこんな裁判に
なってしまったのでしょうか?

0.5ヶ月分を返還しろ!

それは、

〇東急リバブル側
→賃貸借契約日(=入居日)の5日前に
賃借人に対して事前承諾を得ている。

〇賃借人側
→物件を契約する旨の意思を担当者に
伝えた日(=入居申し込みの日)に
仲介手数料の額を提示すべき。

契約日5日前という事後のタイミングで
承諾した仲介手数料の額は無効であり、
原則の0.5ヶ月分が正しい。

というように、
お互いの主張にズレがあったからです。

結果的に裁判所は、

「仲介手数料の額を事前に
提示〜承諾すべきタイミングは
原告である賃借人が主張している、
“物件を契約する旨の意思を
担当者に伝えた日“(=入居申し込みの日)」

とした上で、
被告である東急リバブルに対し、

「受領した1ヶ月分の仲介手数料から、
0.5ヶ月分を返還」

するように命じたんですね。

これから仲介はどうなる?

これは結果的に、
国土交通省が規定している

「媒介の依頼を受けるにあたって
依頼者の承諾を得ている場合」が、

・賃貸借契約日(入居日) ではなく、

・物件を契約する旨の意思を、
担当者に伝えた日(=入居申し込み日)

であることを、
司法が改めて認めた形になります。

しかし、一般的な賃貸仲介においては
「契約日前に事前承諾を得ておけばOK」
という考え方が常識化していますから、

今後、やり方が見直されることは
間違いないでしょう。

少し話は変わりますが、
今回の判決報道によって、
思わぬ方向に話が進んだことがあるんです。

それは
「仲手1ヶ月分は高すぎる!」
という論調です。

マスコミのミスリード?

裁判のポイントはそもそも
「事前承諾を得るタイミング」
についてだったのですが、

ニュースを報道したマスコミ
のミスリードによって、読者に

「仲介手数料は本来0.5ヶ月なのに
業者は1ヶ月分を請求している。
悪しき慣習だから是正すべきだ」

という印象を与えてしまった
ように思います。

しかし、現実論として、

「0.5ヶ月の仲介手数料じゃ
賃貸仲介はやってられない」

という事情もあるんですね。

もちろん、私たち
物件のオーナーにとっては、
直接的な影響はないのですが、

今回の判例によって、
賃貸仲介のあり方が今後、
どのような形で変わるのか?

引き続き注視しておく
必要がありそうです。

がんばりましょう!

村上

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