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大震災の備えはどこまで必要

村上です。

以前、多くのメディアなどで、

2022年問題

というものが、大きく
クローズアップされた時期がありました。

2022年問題については、
ご存知の方も多いと思いますが、

1992年に指定を受けた「生産緑地」が、
30年後の2022年に指定を解除されるため、
13,000haにも上る土地が大量供給されて、
不動産市場が大きく混乱する恐れがある

という懸念だったんです。

そもそも「生産緑地」とは、

良好な都市環境の形成を図るために、
市街化区域内の農地を緑地として活かし、
計画的に農地を保全していこうとする制度

なのですが、土地の所有者にとっては、

土地の固定資産税が農地のまま安く済む

という大きなメリットがあり、
大都市部の農地では現在も、
生産緑地が数多くあるという状況です。

しかし、その生産緑地が
2022年に指定を解除されることで、
一気に市場へ流れ込んだ結果、

土地が大暴落するのではないか?

という懸念が、社会問題に発展しました。

しかし、業界のいち人間である私から見ても、
2022年問題の報道については、
以前から冷めた目で見ていたんです。

「暴落なんて起こりようがない」
「いずれ、国や自治体が動くだろう」

そんな思いがあったんです。

結果的にその予想は当たり、
生産緑地の課税問題は回避されています。

結局、東京にいたっては、
9割以上の地主が、
土地を手放す予定はないという
回答をしていることから、
2022年問題そのものは、
ほぼ解決したとみていいでしょう。

それより問題なのは、
こういった「大暴落」ネタを、
殊更に煽り立てた人たちの存在です。

一部の不動産系評論家や、
投資コンサルタントの方達が、
ネットニュースなどのメディアを通して、
世論の不安を煽っていたんですね。

もちろん、予想が当たればいいんですが、
外れるケースの方が多いわけで、
メディアで発信する人たちの責任を、
もっと明確にしてもらいたいと思うのは、
私だけではないはずです。

大震災の備えはどこまで必要?

さて、本題です。

先日、当社の会員さんから、

「大地震などの震災に遭った場合、
保険で一定のカバーはできますが、
その後のリアルなリスクが分かりません。」

「災害時のリスクヘッジや銀行対応など、
震災に対応するための心構えを
ご教授ください。」

というご相談をいただきました。

最近は、小規模な地震が
各地で頻発していたり、
政府の被害想定によると、

千島/日本海溝において
巨大地震と津波が発生した場合、
最悪のケースでは19万人が死亡する

という、ショッキングなデータも
公表されていますから、

「災害への備えはどうしよう…」

などと、不安に思う方がいても
無理はないと思います。

でも、よく考えてください。

そういったリスクを心配するあまり、

不動産投資の歩みが止まる

ようなことがあれば、
それはそれで問題だと思うのです。

今日はそんな、震災との向き合い方について、
私なりの見解を書いてみたいと思います。

心配が過ぎると本末転倒?

もし仮に、あなたが保有する
物件のエリアにおいて、

甚大な被害をもたらす、
巨大地震や大津波が起こった

としましょう。

でも、それだけの大災害があれば、
自分の物件だけが助かろうなんて、
考えてもムダじゃないでしょうか。

おそらく、未曾有の大災害に直面して、

手も足も出ない

というのが正直なところのはず。

しかし、そんなことを心配して

・積極的な投資を控えてしまう
・災害対応のコストを過剰に費やす

というのは、投資的に本末転倒だと
私は思わざるを得ないんですね。

バランス感覚が大事!

もちろん私だって、
災害リスクを軽視していいと
言いたいわけじゃありません。

要はバランスだということ。

例えば、とあるエリアに

30m以上の津波が押し寄せる

という、浸水想定があったとしましょう。

しかし、だからといって
広い海岸線一帯に30m以上の
防潮堤を建設したらどうでしょうか?

莫大な建設コストがかかる上に、
漁業や海運にも大きな影響が出るはず。

そもそも、海岸線全体が
刑務所のような高い壁に囲まれるのは、
町民だって良い印象を持てないですよ。

だったら、そんな非現実的な対策に、
莫大なコストを費やすより、

そこそこ高い防潮堤を作って、
それ以上の津波が来た場合は、
そのエネルギーを防潮堤で受け止め
陸地への被害をより少なくする。

という考えの方が、
よほど合理的だと思うのです。

全てに対策を打つことは無理な話

それは、不動産投資でも同じことです。

震災リスクを心配するあまり、

・大規模な物件の改修を行う
・いざという際のシェルターを作る

といった、過大なコストを掛けたとしても、

そのコストを賃料に転嫁出来るか?

というと、かなり難しいのが実情です。

「震災に万全の備えを設けています!」
「いつでも安心のお部屋を提供します!」

と言っても、結局賃料が相場より高ければ、
お客さんはその物件を選んではくれません。

つまり、震災リスクを心配するあまり、

不動産投資本来の儲けを削り、
収支を悪化させた影響で、
ローンブレイクのリスクが増す

というのでは、
投資どころじゃないですよね?

お金を儲けるためにやる投資なのに、
本末転倒じゃ意味がないのです。

ハザードマップを確認せよ

一方、それとは真逆に

利益追及だけにフォーカスし、
震災リスクから目を背ける

というのも、やはり問題だと思います。

まずは、自治体がネットなどで公開している

そのエリアのハザードマップ

を入手してください。

ハザードマップにはさまざまな種類があり、

・津波による浸水の度合い

はもちろん、

・エリアの地盤がどうなってるか?
・どこに断層が走っているのか?
・噴火によって火山灰が積もる量は?

といった情報が、
マップごとに細かく掲載されています。

そこから、震災リスクと
コストのバランスを考えた対策を、
適宜実施すればいいと思います。

その上で、人間の力ではどうしようもない
未曾有の大災害が発生したとしたら、
ある程度諦めることも必要じゃないかと、
私は思うんですね。

あとはひたすら耐えろ!

例えば将来的に、富士山が大噴火を起こして、

東京23区に20cm以上の火山灰が降る

という想定がなされていたら、
みなさんはどのような対策をしますか?

おそらく、いざという時に備えて、
火災保険料を積み増すぐらいのことしか、
まともな対策は打てないはずです。

ある程度の備えと対策は必要なものの、
それ以上のことが起こった場合は、
ひたすらみんなで耐えるしかない。

そのぐらいのバランス感覚を持ち、
不動産投資を実践するのが、
より現実的だと思うのですが、
いかがでしょうか?

村上

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