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売却前の修繕はどうする?

村上です。

以前、都内の高級住宅街で、

・生魚を干す
・ゴミを放置する
・落書きをする

といった嫌がらせを続け、
テナントを立ち退かせようとした、
物件の立ち退きトラブルについて、
多くの報道がありました。

関西のとある会社が物件を買い、
住民やテナントを立ち退かせて、
古い建物を解体した上で、
更地にする予定だったようです。

この件については、
さまざまな批判が起こりましたが、
業界の人間である私はむしろ、
テナントを早く立ち退かせたいという、
オーナーの気持ちも良く分かるんですね。

そもそもこの日本では、

・借地借家法
・労働基準法
・消費者契約法

という三大悪法によって、
入居者や労働者、消費者の権利が

他国に類を見ないほど強力である

ことは、みなさんもご承知のとおり。

私たち不動産業者も、
借地借家法の前には無力であり、
今回の、立ち退きに伴う嫌がらせ行為も、
正直なところ、

ニュースを見て胸がすく思い

でした。

もちろん、やり方には賛否がありますし、
私自身も、嫌がらせ行為を
全面的に肯定するわけじゃありません。

それでも、不動産を長年
扱って来た人間の1人として、
その気持ちが良く分かるのです。

ちなみに、入居者やテナントを
スムーズに立ち退かせるには、

「所有者や管理会社が変わった」

旨のあいさつを戸別に実施し、
入居者はどんなタイプの人かを、
把握するところから始めます。

その後、出て行って
くれなさそうな入居者から、
立ち退き交渉を開始するんですね。

ゴネる入居者を後回しにすると、
立ち退きに同意してくれるまで、
物件が長期間歯抜け状態となり、
その間のキャッシュフローが、
えらいことになってしまうからです。

まぁ、そんなテクニックはさておき、
立ち退きをスムーズに進めるには、

借地借家法という強力な後ろ盾

を、極力回避しなければなりません。

この業界に長くいる人間ほど、
その難しさを理解していますから、

良くも悪くも法に触れない

スムーズな立ち退きを目指すことが、
求められるというわけです。

売却前の修繕はどうする?

さて、本題です。

物件を売却するにあたり、
誰もが突き当たる問題として、

劣化部分の修繕を、
どの位実施しておくべきか?

というものがあります。

実際、当社の会員さんからも、

******

物件の売却を検討していますが、
その建物は排水管の詰まりが多く、
高圧洗浄を実施したり、
配管のつなぎ目などを
修繕したことがあります。

このような場合、
売却前に修繕した方が良いのか?
それともコストを掛けず現状渡しで、
有りのままを伝えた方が良いのか?
ぜひ教えてください。

*****

というご相談をいただいています。

今回はそんな、
売却前の修繕について、
私なりに書いてみたいと思います。

修繕はケースバイケース

まず始めに言っておきたいのは、
売却前に修繕をやるべきか否かは、

物件次第でケースバイケース

だということです。

とりあえず、
修繕をやるかどうかに関係なく、

工事見積りをきちんと取っておく

ようにして下さい。

そこで出てきた見積額次第で、
思ったより安いなら「やっちゃえ」だし、
逆に高額だったとしたら、

・やるのかやらないのか?
・どの位手を入れるのか?

という匙加減を、
シビアに見極めた方が良いでしょう。

当然、修繕コストを掛けるほど、
売却時の手残りが目減りしますから、
売値とコストのバランスを考えた上で、
慎重に判断したいものです。

どの修繕を優先するか

また、修繕コストだけでなく、
劣化の緊急度合いも重要です。

物件はそう簡単に
売れるものではないですし、
売却まで1年2年と時間が掛かれば、
その分だけ建物の劣化も進みます。

例えば、今現在においても、

・雨漏りが止まらない
・配管の詰まりが直らない

こんな状況では、
早急に対処しておかないと、

・入居者からクレームが出る
・退去が続いて空室が増える

ことにも、つながりかねません。

その上、空室が増えれば
物件価格の査定ダウンや、
指値の口実にもなりますから、
緊急性の高い修繕については、

コストの高い安いに関わらず、
優先的に処置しておく

ことを心掛けて下さい。

自分が買主だったら…

次に重要なポイントは、

買主の目線で修繕を考える

ことです。

自分が仮に、
買主側の投資家だったとして、

「こんな物件はイヤだな…」
「修繕コストが読めないな…」

など、ネガティブな印象を
持ちそうな箇所について、
優先的に修繕しておくのです。

もちろん、
掛けられるコストには、
限界がありますし、
修繕したからと言って、

物件価格を上げられる

わけでもありません。

外壁塗装や共用部分のリフォームなど、
見た目を大きく左右する部分については、
査定アップの可能性もありますが、
掛かるコストと査定アップを、
きちんと天秤に掛けておかないと、
後で痛い目に遭う可能性も高いです。

その辺の費用対効果は、
買主目線を持ちながら、
信頼出来る売買仲介の担当者と
事前に協議しておくなど、
間違いのない取捨選択をして下さい。

告知をお忘れなく

また、修繕をやるかどうかに限らず、

買主側にきちんと告知する

ことも、
後々のトラブルを回避する上で、
忘れてはいけないポイントです。

例えば、配管詰まりのトラブルが、
高圧洗浄で一旦は収まったものの、

原因は配管自体の劣化だった

としたら、再発は免れませんよね?

高圧洗浄だけで終わらすにしても、
物件売買の告知事項にはきちんと、

*年*月に**号室で、
配管の詰まりが発生し、
高圧洗浄で対処した

旨の告知をしておきましょう。

逆に、瑕疵を隠してしまうと、
後から契約不適合責任として、

・損害賠償
・違約金

を請求される可能性があります。

オーナーとしての責務

そんなわけで今回は、
物件売却前の修繕について、
その是非を書いてみましたが、
そもそも論として、

売却後の手残りを気にするよりも、
入居者の安心安全を担保すること

の方が、
物件を保有するオーナーとして、
より重要であることは、
言うまでもありません。

安全で快適な物件を提供し、
家賃という対価をいただく
不動産投資の原点に立ち返り、

どの修繕を優先すべきか?

を考えることも、
オーナーの責務だと思いますよ。

がんばりましょう!

村上

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