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単身高齢者の問題について

村上です。

先日のこと、

防音性能を売りにしている、
音楽家向けのマンションが、
相場の3割増し家賃にもかかわらず、
多数の入居待ちが発生している。

という新聞記事を見ました。

一見、このような
コンセプト重視の物件が
これからは主流になるような
記事内容ではあったのですが、
個人的にやや疑問を感じてもいます。

というのも、記事に掲載された
マンション運営会社の評判が、
この業界内ではあまり
芳しくなかったからなんですね。

実はこの運営会社、以前から
家賃が高過ぎて入居が決まらない
という物件を多数抱えていました。

我々不動産業者の目からも、
あそこの物件はちょっとなぁ…
という感じだったのです。

そんな経緯から、今回の物件も
多数の入居待ちを抱えていながら、
それはあくまで登録しただけであり、

登録数と入居率は大きく異なる

というのが実際ではないかと、
勘繰ってしまうんですね。

そもそも、報道どおりに
このコンセプトマンションが、

高い家賃でも満室になる上、
多数の入居待ちが出来る

のであれば、
雨後のタケノコみたいに、
似たコンセプトマンションが
次々と新築されるはず。

それこそブルーオーシャンですが、
実際はそうじゃありません。

防音に特化したコンセプトは、
決して悪い企画だとは思いませんし、
むしろ、全然有りだと思います。

とはいえ、多大なコストを掛けて、
物件を新築してしまった結果、

最低限の利回り確保のため、
高めの家賃にせざるを得ない

これでは、顧客目線を読み違えた
アプローチになってしまいます。

おそらく今後、このような
コンセプト特化型のマンションが、
一定数、市場に供給されると思いますが、

見た目や機能性に踊らされることなく、
その物件が本当に儲かるかどうかを、
きちんと見極める必要がありそうですね。

単身高齢者の問題について

さて、本題です。

ご質問をいただきました。

******

所有している築古アパートの一室に、
70代の男性が単身で住んでいます。

管理会社からの報告によると、
最近、認知症のような様子がある
とのことで、少し心配になっています。

現時点で問題行動などはありませんが、
管理会社の担当が見回りに行ったところ、
部屋の中にゴミが溜まっているようだと、
報告がありました。

このような独居老人の問題に加え、
ゴミ屋敷になるようなケースは、
多々有るのではないかと思いますが、
何か対策などあれば教えて下さい。

******

少子高齢化や核家族化が、
当たり前となった日本において、
入居する単身高齢者の

・認知症
・孤独死
・ゴミ屋敷化

は、避けて通れない問題であり
その対応に苦慮するオーナーも、
多いのではないかと思います。

今回は、そんな高齢者の
トラブルや対策について、
少し解説してみたいと思います。

ゴミ屋敷は年齢問わず?

まず始めに、
押さえておきたいことは、
ゴミ屋敷のトラブルは別に、

高齢者だけの問題ではない

ということ。

私がこれまで経験してきた
ゴミ屋敷のトラブルでは、
単身高齢者だけでなく、

・若い世代の単身者
・カップルや夫婦
・多人数のファミリー

に至るまで、
どんな世代でも一定の確率で
ゴミ屋敷化する部屋がありました。

最もすごかったのは、

ゴミを搬出したら
5トントラック20台分あった

というケース。

40平米くらいのゴミ屋敷に、
40代の両親と子供2人が住んでいましたが、
搬出費用だけで100万円くらい
掛かった気がします。

ゴミ屋敷化は防げない

その他にも、

天井近くまでびっしりと
ゴミが溜まっていたりとか…

トイレがゴミで使えなくなって、
浴室に汚物が溜まっているとか…

猫などペットの死骸が、
ゴミの中から出て来るとか…

その場に居られないくらい、
強烈なケースもありました。

とはいえ、溜まったゴミは
あくまで個人の所有物であり、
他人が許可なく処分することは、
違法となります。

滞納で立ち退きを要求するとか、
共有部を占有しているとか、
悪臭や害虫でクレームが出るなど、
よほどの状況でもない限り、
なかなか手を出せないのが実情。

入居審査時にゴミ屋敷化を
予見することが難しい以上、
未然に防ぐことも出来ないわけで、

一線を超えた時点で粛々と処理し、
費用を請求するぐらいしか
手だてはないでしょうね。

高齢者と認知症

では次に、認知症について。
これもなかなか難しい問題です。

介護保険において、
認知症の認定基準は8段階あり、

・要支援1〜2
・要介護1〜5

と、細かく分かれています。

その中で、掃除や入浴、食事などの
訪問介護サービスが受けられる
認定基準は「要介護」以上であり、
それ以下の「要支援」では、

高齢者本人の自立した生活

に、ある程度頼らざるを得ません。

つまり、要介護と認定されない、
軽度の認知症レベルの場合、
日常生活に問題を抱える高齢者も
少なくないわけで、

・他の住人とトラブルになる
・ゴミ出しのルールが守れない

あるいは、先ほど述べたように
ゴミを室内に溜め込んでしまったり、
共有部を占有してしまうケースが、
高齢者世帯では多くなります。

社会全体で取り組む

賃貸物件に入居を希望する
単身高齢者が、今後より一層
増えると予想されている中、
物件を保有するオーナーや
管理会社だけではなく、

社会全体の課題として
行政と連携して解決する

体制作りが求められます。

例えば、保証会社や
保証人を付けるだけでなく、
もしもの際に

・行政が対応や処理を仲介する
・掛かる費用を負担してくれる

ような仕組みがあれば、
私たちオーナーの側も、
単身高齢者の入居ニーズを
より多く汲むことが出来るはず。

オーナーの安心だけでなく、
高齢者の安心も担保出来る。

そんな社会となるよう、
私たち不動産業界の人間も、
行動する必要がありそうですね。

今回はこんなところで。

村上

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