BLOG

ブログ

スライド条項とは何か?

村上です。

先日のニュースで、
体内に埋め込まれた
マイクロチップから、

・個人情報
・本人確認
・電子決済

の情報を取り出す時代が
到来するという話がありました。

小さな非接触マイクロチップに、
さまざまな情報をインプットし、
手などの体内に埋め込むことで、
日常的な手続きや確認を
スムーズに行うというものです。

ただし、
こういった類の話は一見、
先進的なように思えて、

実は大したことがない…

既存のシステムを置き換える
存在にはなり得ない…

そんなケースばかりではと、
個人的に考えているんです。

今回のマイクロチップも、
個人情報や本人確認は、

マイナンバーカードで
いいんじゃないの?

電子決済をするなら、

既存のICカードか
スマホで足りるでしょ?

ぐらいにしか思えません。

あと、チップの型が
古くなってしまったとか、
体内で故障したなど、
埋め込んだマイクロチップの
維持管理も面倒かと思います。

体内から取り出したり、
埋め戻すような手術は
一体どうするんでしょうか?

曲がりなりにも手術ですから、
コスト的に安くないはずです。

そんな、SF映画のような
マイクロチップの話ですが、
新しいテクノロジーに対し
極めて保守的な日本では、
まず普及することはない
と思います。

そもそも、数年前まで
話題になっていたIoTとか、
スマート〇〇といった
新たなテクノロジーも、
殆ど普及してませんよね?

既存のシステムを
置き換えて余りあるぐらいの
利便性があれば別ですが、
外出先からスマホアプリで、

・自宅のエアコンを付ける
・テレビ番組を予約する
・ペットの様子を見る

その程度の手間に対し、
何十万円ものコストを払う家が
果たしてどれほどあるのか?

ニュースを見るたび、
いつもそんな思いばかりが、
頭をよぎってしまいます。

スライド条項とは何か?

さて、本題です。

みなさんは、

スライド条項

というものをご存じでしょうか?

これは主に公共工事など、
建設工事の請負契約に
定められているもので、
工事の契約締結後に
賃金水準や物価水準が変動し、
その変動額が一定割合を超えた場合、
建設工事請負契約書に盛り込んだ
条項に基づいて、

請負代金額の変更を請求出来る

というもの。

分かりやすく言えば、
工事請負の契約後に
モノやヒトの単価が
一定以上上がった場合は、
そのインフレ分を請求しても
構わないよという取り決めです。

その一方で、
民間の工事請負契約においては、

契約後の単価上昇分は
建築業者がそのコストを負担する

ということが、
当然のように行われていました。

今回はそんな、
スライド条項の是非について、
解説してみたいと思います。

後出しジャンケン

まず始めに、公共工事における
スライド条項の適用について、
大まかに触れておきましょう。

国土交通省のガイドラインによると、
公共工事においてスライド条項が
適用されるケースは、

・請負契約締結の日から1年が経過し、
 賃金水準又は物価水準の変動によって、
 請負代金額が不適当となった場合

・特定の工事材料の価格に
 著しい変動が生じた結果、
 請負代金額が不適当となった場合

・急激なインフレまたはデフレで、
 請負代金額が著しく不適当と
 なった場合

とされています。
https://www.mlit.go.jp/common/000017112.pdf

つまり、
スライド条項というものは、
上記の条件を満たせば、

契約後の後出しジャンケン

が出来るようなものであり、
工事を受注する側にとっては、
有難い条項でもあるのです。

価格高騰で入札不調に?

もし仮に、工事請負契約後で
予期せぬ値上がりがあった場合、
建設会社がその上昇分を
負担するとなると、

競争入札で無事落札したが、
その後の資材価格高騰で、
薄い利益が吹っ飛んでしまう

ことにもなりかねません。

特に現在は、世界的なインフレで
資材価格が上昇していますから、
建設業者もおいそれと入札が
出来なくなってしまいます。

そんな事情から、
公共工事の入札不調が続くと、

・新たな施設が建設されない
・既存施設の修繕が出来ない

といった、
計画の見通しが立たない
深刻な事態に陥るわけで、
国や地域の行政にも、
多大な影響を及ぼすことに…

そこで、公共工事では
工事請負契約書に
スライド条項を盛り込むことが、
定着しているのです。

民間工事とスライド条項

その一方で、民間の
工事請負契約においては、
スライド条項の導入が
一般的でないことも事実です。

建設する受注側にとっては、
契約後に資材などが高騰すれば、
その上昇分を利幅で吸収する
必要がありますから、
スライド条項がない以上、

見積もりの時点で
利益を厚めに乗せる

ことを行ったり、受注側が

「500万円追加でもらわなければ、
 工事がストップしてしまいます。」

といった泣きを入れ、
発注側が渋々応じるといったことが、
慣習的に行われていました。

ただし、数千万円〜数億円規模の、
比較的小さな受注ならともかく、
再開発プロジェクトのような、

数千億円規模の工事請負契約

では、大変なことになりますよね?

建設工事というものは、
規模が大きくなればなるほど、
期間が掛かるものですから、
デフレだった時代はともかく、
現在は、着工から数年後に
資材が大幅に値上がりした
なんて話が珍しくないわけで、

民間工事におけるスライド条項

の定着化は今後、
避けて通れないと思われます。

双方が安心出来る工事

ちなみに、国内における
2022年の建設受注額は、
前年同期と比較して
9%程度上昇したそうです。

景気の良い話にも思えますが、
これは単に、資材価格や
人件費が高騰した影響が大きく、
建設業者の利益には
直接繋がっていないことも、
留意しておく必要があります。

昨今のインフレは、
工事を発注する側だけでなく、
受注する側にも、
大きなインパクトを与えています。

今後は、
民間の工事請負契約にも
スライド条項を盛り込むことで、

発注側と受注側の
双方が安心出来る工事

を目指すことが、
この業界を維持するために、
必要不可欠だと思います。

では、今回はこの辺で。

村上

TOP